御厨氏の代名詞とも呼べる学問的手法が、オーラルヒストリー(口述記録)の体系化です。公文書や公式発表だけでは見えてこない「密室での決断理由」「政治家同士の生々しい人間関係」を、徹底したインタビューと綿密な歴史考証によって浮かび上がらせました。
中曽根康弘元首相、宮澤喜一元首相、後藤田正晴元官房長官、河野洋平元衆議院議長といった戦後政治の要人たちから引き出された貴重な証言は、単なる回顧録の枠を超え、後世に残すべき第一級の歴史遺産となっています。
これら膨大な記録をもとに世に送り出された御厨貴氏の著書は、『オーラル・ヒストリー――現代史のための口述記録』(中公新書)、『政策の総合と連携』(東京大学出版会)、『知と問答 権力と構想』(岩波書店)など多数にのぼります。さらに、近現代のリーダーシップを鋭利に解剖した『明治国家をつくった人びと』や『政治の眼力』などは、学問の世界のみならず現役のビジネスパーソンや政治関係者の必読書として読み継がれています。