最高学府である大学において、なぜ同様のハラスメントが繰り返されてしまったのでしょうか。その背景には、大学特有の「研究室という密室空間」と「指導教員に集中する評価権限」があります。
理系・文系を問わず、大学院生や卒論生にとって指導教員は学位取得や将来の就職・研究職への推薦を握る絶対的な存在です。不適切な行為を受けても、「告発すれば学位が取れなくなる」「学会から締め出される」という恐怖心が働き、被害を潜在化させる要因となっていました。
また、設置されていた学内のハラスメント相談窓口についても、以下のような構造的課題が指摘されていました。
・学内教職員が相談員を務めることによる守秘義務への不安
・被害申し立てから調査開始・処分確定までに数ヶ月以上の時間を要する迅速性の欠如
・相談したことが指導教員に漏洩するのではないかという報復リスクへの恐怖
これらの障壁が被害者の初期相談を躊躇させ、問題の長期化・深刻化を招いた一因とされています。