菊地凛子という稀代の女優の名が世界に轟いたのは、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の映画『バベル』だった。言葉を持たない聴覚障害者の少女という難役を熱演し、日本人女優として実に49年ぶりとなるアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた快挙は、今なお語り継がれている。
その後も、ギレルモ・デル・トロ監督の大作『パシフィック・リム』でヒロインを演じ、SFアクションの第一線でもその圧倒的な存在感を提示。近年ではHBO Maxが手がけた世界的話題作『TOKYO VICE』において、複雑な内面を抱えるエディター役を熱演し、ハリウッドにおけるトップランナーとしての立ち位置を揺るぎないものとした。彼女が持つ、一瞬で画面を支配する鋭利な情念は、海外の映画人にとっても代えがたい魅力であり続けている。