関係者からの独占証言によれば、本作『抜苦与楽』の現場は息をのむ緊迫感に包まれていたという。クランクインは極寒の北陸地方。過酷なロケーションのなかで、主演の役所広司は役作りのために体重を10キロ近く絞り込み、極限の精神状態へと自身を追い込んだ。「苦しみを取り除き、楽を与える」という重厚な題目に対し、演者たちが全身全霊で対峙した様子が伝わってくる。
現場を指揮した是枝裕和監督は、過度な説明的演出を一切排除。登場人物たちの吐息や目線の揺れだけで感情の機微を表現する独自のスタイルをさらに進化させた。共演陣にも日本映画界を代表する実力派がずらりと顔を揃えており、セット裏では連日、セリフの解釈をめぐって熱い議論が交わされていたという。まさに日本映画の真髄を結集した撮影の裏側が、今解き明かされようとしている。