1976年の開業当時、高さ123.7メートルを誇った旧ビルは、周りにまだ遮るものの少ない梅田の空に忽然と現れた「丸い巨塔」だった。大阪第一ホテルを核に、地下街「ディアモール大阪」やJR大阪駅と直結する抜群のロケーション。まだ超高層ビル群が今ほど高密化していなかった時代、その異彩を放つ円柱状のフォルムは、文字通りキタのランドマークそのものだった。
特に人々の記憶に刻まれているのは、最上部に設置されていた回廊型の電光掲示板だ。「回る電光ニュース」として親しまれ、阪神タイガースの優勝速報から日々の天気予報、社会的な大ニュースまでを光の文字で街に発信し続けた。スマホはおろかインターネットすら存在しなかった昭和の街角で、見上げればそこにある最新情報——それがマルビルだったのだ。