インターネット上の健康情報やSNSの言説で根強く信じられているのが、「肥満体型でなければ糖尿病や高血糖には無縁である」という誤った思い込みです。医学的見地から断言すれば、これは危険極まりない神話です。日本を含む東アジア人は、遺伝的・体質的に欧米人と比較してインスリン分泌能が約半分程度しかないことが複数の大規模研究で判明しています。
欧米人の場合、極端な過体重になって初めてインスリン抵抗性が生じ、病気を発症する傾向が見られます。一方、日本人は少しの内臓脂肪増加や加齢による筋肉量の低下だけで、膵臓が糖を処理しきれなくなる脆弱性を抱えています。近年、若い女性や標準体重以下のビジネスパーソンに激増しているのが、まさにこの「痩せ型高血糖」です。
この病態を浮き彫りにするのが血糖値スパイクの症状です。空腹時の採血では正常値(100mg/dL未満)を示すため、一般的な健康診断のふるい分けを軽々とすり抜けてしまいます。しかし、白米やラーメン、甘い清涼飲料水を摂取した食後1〜2時間後には、血糖値が140mg/dL、ときには200mg/dL近くまで急上昇しています。これこそが「隠れ高血糖」の正体です。
隠れ高血糖の見分け方として着目すべきは、食後1〜2時間後に訪れる猛烈な眠気、突然の集中力低下、冷や汗、あるいは食後数時間で再び強烈な空腹感に襲われるといった症状です。また、骨格筋量が少ないサルコペニア肥満(体重は軽いが体脂肪率が高い状態)の人や、朝食を抜いて昼に炭水化物を一気に摂るライフスタイルの持ち主は、体型に関係なく血糖値スパイクの温床を抱えています。