早稲田大学第一文学部在学中、歌人である佐佐木幸綱との出会いが彼女の運命を大きく手繰り寄せた。佐佐木が主宰する結社「竹柏会」の歌誌『心の花』に参加したことで、彼女の才能は一気に開花することとなる。
厳格な文語体が主流を占めていた当時の歌壇において、佐佐木は彼女の瑞々しい感性と口語表現のポテンシャルを高く評価した。旧来の形式にとらわれず、現代人が生きる生の言葉で歌を詠む「口語短歌」の潮流は、まさにこの師弟関係の強い信頼から生まれたものだ。俵万智という圧倒的な表現者の登場によって、現代短歌は一部の知識人の手から解き放たれ、誰もが自らの想いを託せる身近な文芸へと進化したのである。