猿将部屋の親方役として重厚な存在感を放ったのがピエール瀧だ。弟子の才能を見抜きつつも厳しく育て上げる親方の葛藤と温かみを、滲み出る人間味とともに体現した。威厳の中に覗く哀愁や、角界の現実に直面する大人のリアリティは、彼にしか出せない味と言える。
そして、この濃密な人間ドラマを力強く束ね上げたのが江口カン監督だ。CM制作などで培った鋭い映像センスと泥臭い人間ドラマの融合。従来のスポ根ものの枠組みを取り払い、力士たちの生々しい汗や血、息遣いまでをも画面に焼き付けた。登場人物全員に人間くさい魅力を吹き込んだ演出手腕こそ、世界的大ヒットを生み出した原動力である。