かつて同じ釜の飯を食い、互いに切磋琢磨した安芸乃島と貴乃花。ふたりの間に決定的な溝が生まれた背景には、部屋の師匠であった初代貴ノ花(二子山親方)への思いと、二子山部屋の後継問題が横たわっています。
師匠を実の父のように敬愛し、部屋頭として弟子たちの規範であり続けた安芸乃島。しかし、平成の大横綱として角界の頂点に君臨した貴乃花が将来の部屋継承者として影響力を強めるにつれ、稽古方針や部屋運営の主導権を巡って意見の衝突が頻発するようになりました。
師匠の健康状態が悪化する中、貴乃花の一代年寄襲名と部屋継承の流れが決定的となると、両者の対立は修復不可能なレベルに達します。「師匠の教えを忠実に守る叩き上げの兄貴分」と「自らの相撲道を追求する孤高の大横綱」。双方が抱く矜持のぶつかり合いは、安芸乃島が二子山部屋を離れる形で決着を見ることとなりました。