炎のリアルさを決定づけるもう一つの決定打は、炎そのものではなく「炎が照らす周囲の世界」の描き込みにある。徹底した光のリアリズムで世界を魅了する新海誠の映画群が証明している通り、光源が環境に与える相互作用こそが、見る者の没入感を決定づける。
デジタルイラストレーションにおいて、炎を描き加えただけで満足してはならない。炎の近くにあるキャラクターの肌、衣服のテクスチャ、地面の湿り気には、炎の赤いバウンスライト(反射光)が強烈に差し込むはずだ。さらに、超高温の空気によって背景の建造物や風景がゆらゆらと波打つ「熱気による歪み」をフィルター効果で丁寧に加える。この空間全体のトーン設計を徹底することで、画面の温度は一気に数百度へと跳ね上がる。