1989年9月28日、通算放送603回をもって『ザ・ベストテン』は11年9か月の歴史に終止符を打ちました。終了に至った真相には、日本の音楽産業とメディア環境の大きな構造変化がありました。
1980年代後半に入ると、ロックバンドの台頭やニューミュージックの成熟により、従来の「歌謡曲チャート」に縛られないアーティストが急増。ランキング形式の番組への出演辞退(ランクイン拒否)が相次ぐようになり、毎週1位から10位までの歌手をスタジオに揃えることが困難を極めました。
さらに、音楽専門チャンネルの登場や音楽の聴き方の多様化に伴い、「お茶の間全員で同じヒット曲を共有する時代」そのものが終焉を迎えていたことも決定打となりました。嘘をつかない番組だからこそ、時代の変化をごまかすことなく堂々と幕を下ろしたのです。