「ちょ待てよ」を一過性のドラマのセリフから国民的流行語へと昇華させた立役者こそ、ものまねタレントのホリです。2000年代初頭、ものまね番組で披露された木村拓哉の形態模写において、ホリは『HERO』の久利生公平を思わせる茶色いダウンジャケットを身に纏い、何かにつけて「ちょ、待てよ!」と叫ぶネタを確立しました。
ホリ本人が過去のインタビューや特番で明かした証言によると、ネタ作りの過程で木村拓哉の過去作を徹底的に見返していた際、『ラブジェネ』第5話で発せられたあの独特のイントネーションと切迫感に目を留めたといいます。「木村さんはドラマの中で、相手が立ち去ろうとするときに必ず息を吸い込みながら引き留める」という特徴を抽出し、あえてワンフレーズに集約してデフォルメしたのが始まりでした。
気になるのは木村拓哉本人の反応です。当初、バラエティ番組『SMAP×SMAP』やラジオ番組『What's UP SMAP』などで本人は「オレ、そんなに言ってないからね!」と苦笑交じりにツッコミを入れていました。しかし、ホリが敬意を持って長年ものまねを磨き上げ続けた結果、両者の関係は次第にポジティブなものへと変化します。
テレビ特番での直接対面や共演を経て、木村拓哉はホリの芸を正式に受け入れ、私物のアイテムをプレゼントするなど実質的な「本人公認」を与えました。スターとしての圧倒的な器の大きさと、ものまね芸人の観察眼が見事に調和した瞬間でした。