そもそも、私たちが日常的に口にする「ストレス」という言葉は、どのように生まれたのだろうか。20世紀半ば、生理学者ハンス・セリエ博士が物理学の概念を生体に当てはめ、「外部からの刺激に対する生体の反応」と定義したのが始まりだ。当初は歪みや刺激に対する防御反応全般を意味していたが、時代が下るにつれて「悪者」「排除すべき敵」という印象ばかりが独り歩きしてしまった。
しかし、世界保健機関(WHO)や日本の厚生労働省が提示する最新の指標では、ストレスそのものをゼロにすることは不可能であり、同時に不適切でもあると指摘されている。適度な刺激は生命維持や意欲向上に欠かせない。重要なのは、回復不能なレベルの「過剰な負荷」を蓄積させないこと。すなわち、脳が常に警戒モードに陥る状態をリセットし、心身をすみやかにニュートラルへ戻す基盤こそが、真のノンストレスな状態なのだ。