「以前は、自分がどう見られているかをどこかで意識していました。でも今は、役の感情の波にただ身を委ねる感覚があるんです」
都内の撮影スタジオで行われた独占取材で、彼女はまっすぐな眼差しでこう切り出した。最新作のロケーション撮影を終えたばかりの彼女の手には、びっしりと付箋が貼られた台本が握られている。かつては監督の指示に応えることで一杯だったと振り返るが、現在は役柄の背景にある余白をどう埋めるか、監督や共演者と密に議論を重ねながら現場を作り上げているという。
「現場での即興性や、予期せぬアクシデントから生まれる熱量こそが映像に宿る。それに気づいてから、お芝居が恐怖から喜びに変わりました」と語る言葉には、一人の俳優として地に足をつけた力強さが宿っていた。