石垣島から南西へ約63キロ。黒潮の本流を横切る航路は、かつて「シケれば足止め」が当たり前の試練の海だった。しかし、揺れを大幅に軽減する最新鋭の双胴高速船が安定運用に入ったことで、アクセスのハードルは一気に下がった。
「昔は『行けたらラッキー』な幻の島だったんですよ。今は朝一の船で来て、ニシ浜で泳いで夕方の船で帰る日帰り客が溢れている」。港の売店で半世紀暮らす女性は、入り乱れる大型レンタサイクルを見つめながらぽつりと呟いた。アクセスの向上は観光消費をもたらした一方で、滞在時間わずか数時間の消費型観光を急増させ、静けさを愛するリピーターや島民の生活道路を圧迫し始めている。