子を持たない理由を単純な「お金の問題」に回収してしまうのは、事態の本質を見誤ることになる。当事者たちの声に耳を傾けると、そこには多角的な視点が存在する。
「自分の時間とメンタルヘルスを犠牲にしてまで育児に向き合える自信がない」と本音を漏らす人もいれば、自身の幼少期の家庭環境から「同じ連鎖を生みたくない」と熟考する人もいる。あるいは、仕事や専門分野での自己実現に全全力を注ぎたいと願う人々にとって、育児は時間のトレードオフとして捉えられることもある。これらはすべて、自立した大人が自身の人生を真剣に考え抜いた末の、きわめて合理的な決定だ。