なぜ碇シンジの誕生日は6月6日になったのか。その真相は、ファンが時に推測する「悪魔の数字(666)にまつわるオカルト的な意図」ではなく、極めて制作現場直結の判断でした。
声優の緒方恵美氏が自身の自著や過去のロングインタビューで振り返っている通り、オーディションを経てシンジ役に緒方氏が抜擢された際、キャラクターの細かいプロフィール設定はまだ固まっていませんでした。庵野秀明監督は緒方氏に対し「シンジの誕生日は緒方さんと同じ6月6日でいいよね」と直接伝え、その場で生年月日が確定したといいます。
庵野監督はパイロットたちに命を吹き込む声優陣の個性や実人生をキャラクターに強く反映させる演出手法をとっていました。アスカ役の宮村優子氏(12月4日生まれ)、ミサト役の三石琴乃氏(12月8日生まれ)、リツコ役の山口由里子氏(11月21日生まれ)がいずれも本人と同じ誕生日を与えられているのはその証憑拠です。
結果として、緒方恵美氏自身の持つ繊細さと力強さ、表現への誠実な苦闘がシンジという少年のパーソナリティと分かちがたく結びつき、フィクションの枠を超えた生々しいリアリティを獲得することになりました。