本作が生み出した最大のポップカルチャー遺産が、第2話で描かれた「あすなろ抱き」です。失意の底にいるなるみに対し、木村拓哉演じる取手が背後から強く抱きしめ、耳元で「俺じゃダメか?……俺じゃダメなのか?」と切なく問いかけるシーンは、当時の日本中の女性視聴者を虜にしました。
このバックハグは単なる胸キュン演出にとどまらず、「好きな人の心が別の誰かに向いていると知りながらも、抱きしめずにはいられない」という取手の痛切な心理を完璧に視覚化した演出でした。当時20代前半だった木村拓哉の繊細かつ色気あふれる佇まいは、彼を一躍トップスターへと押し上げる決定打となったのです。
さらに、ドラマを語る上で外せないのが、藤井フミヤ氏が歌う主題歌『TRUE LOVE』の存在です。チェッカーズ解散後、ソロ第1弾シングルとしてリリースされたこの楽曲は、累計240万枚以上のメガヒットを記録。劇中で切ないアコースティックギターのイントロが流れるだけで感情が揺さぶられるという、90年代テレビドラマ屈指の劇伴演出効果を発揮しました。