なぜ北朝鮮の最高指導者は、国家犯罪とも言える拉致の事実を前代未聞の形で認めたのか。その背後には、米国のブッシュ政権による「悪の軸」指名という強い軍事的圧力と、国内の壊滅的な経済状態があった。
国際社会からの孤立を回避し、日本からの巨額な経済協力を引き出すためには、過去の「負の遺産」を早期に清算したというポーズが必要不可欠だった。しかし、国家のメンツと指導者の威信を守るため、真相究明の根幹に関わる重要情報は隠蔽され続けた。この身勝手な政治的計算こそが、解決の糸口を失わせ、問題を数十年にわたり塩漬けにする最大の要因となったのである。