物語の起点となるのは、主人公・紺野真琴が不意に入手した時間跳躍能力だ。坂道を自転車で下る際に起きた踏切事故を回避したことをきっかけに、彼女はその力をテストの点数稼ぎやカラオケの延長といった他愛のない日常の欲望のために使い始める。しかし、この軽率なタイムリープこそが、周囲の人間関係に予期せぬ歪みを生じさせる原因となっていく。
真琴の腕に刻まれた「数字」は、跳躍できる残回数を示している。彼女がくだらない理由で跳躍を重ねるごとに数字は減少し、気づいた時にはカウントダウンが終焉へと近づいていた。自分がやり直した過去のツケが、友人の津田功介や下級生の藤谷果穂らに理不尽なトラブルとして跳ね返ってくる構図は、極めて冷徹だ。時間を巻き戻す行為が決して無傷では済まないという事実は、青春の疾走感の裏にある緊迫感を際立たせている。