突然のバトンタッチという重圧の中で立ち上がった松村達雄の2代目おいちゃんは、初代とは明確に異なる独自の魅力を放っていた。新劇の舞台で鍛え上げられた演技派ならではの知性と、どこかインテリを感じさせる風刺の効いた語り口。寅次郎との口喧嘩においても、感情的になるだけでなく、論理の破綻した寅次郎に呆れ果てるインテリゲンチャのような独特のペーソスを醸し出していた。
わずか5作品での降板となったものの、松村が見せた洗練された喜劇味はシリーズに新たな風を吹き込んだ。後に彼は別の役柄(医師の夢観庵など)で作品に再登場し、映画ファンを大いに喜ばせている。短い期間でありながら、日本映画界における名バイプレイヤーとしての確かな爪痕を残した。