横浜とカレーの出逢いは、19世紀半ばの開港期にまで遡る。1853年にアメリカ艦隊を率いて来航したマシュー・ペリーの黒船来航以降、横浜は海外の先端技術や食文化が日本で最初に上陸する一大拠点となった。当時、イギリス船員らによって持ち込まれたインド由来のスパイス料理は、日本人の味覚に合うよう小麦粉でとろみをつけた西洋風のシチューへと姿を変え、文明開化の象徴として広まっていく。
この海風に乗って伝わった食のイノベーションは、隣接する海軍港・横須賀へとも伝播し、のちの「横須賀海軍カレー」誕生の遠因ともなった。つまり、日本におけるカレー文化普及の揺籃地は、紛れもなくここ横浜の港湾エリアであったのだ。当時のレシピを今に伝える洋食店では、じっくりと炒めた玉ねぎと時間をかけて取ったフォンドボーがベースとなる重厚な味わいが守られており、歴史の息吹をそのまま一口で堪能できる。