冷水を浴びたときの「シャキッとする」感覚は、気のせいではない。オランダのラドバウド大学医療センターが行った先駆的な研究では、寒冷刺激と特定の呼吸法を組み合わせることで、従来は意識的に制御不可能とされていた自律神経系および先天性免疫反応を意図的に調節できることが示された。被験者にエンドトキシン(細菌毒素)を投与した実験において、寒冷訓練を受けたグループは炎症性サイトカインの放出が有意に抑えられ、発熱や頭痛などの症状が劇的に軽減したのだ。
さらに神経科学の視点からも強力な裏付けがある。スタンフォード大学医学部の神経生物学者アンドリュー・ヒューバーマン教授は、適切な寒冷刺激が脳内のドーパミン濃度をベースラインの約2.5倍にまで跳ね上げると指摘する。この数値はカフェインやニコチンを上回り、しかも急激なクラッシュ(反動の落ち込み)を伴わずに数時間持続する。冷水がもたらす急性のストレスは、乱れがちな自律神経系をリセットし、持続的な集中力と前向きな意欲を生み出す触媒となる。