岡崎京子の伝説的コミックを映画化した『ヘルタースケルター』の製作が発表された瞬間、映画ファンの間に走った衝撃は凄まじいものだった。配給のアスミック・エースとタッグを組んだ写真家・映画監督の蜷川実花が描こうとしたのは、全身整形によって美の頂点へと登りつめ、やがて内側から崩壊していく主人公・りりこの悲劇である。ポップでありながらグロテスク、そして極限まで濃密な心理サスペンス。
この世界観を成立させる唯一無二のピースが沢尻エリカだった。彼女は全身のラインを惜しげもなく晒し、狂気とエロティシズムが交錯するエロティック・ドラマの極致を体現した。カメラの前で晒された肢体は、人工的な美を求め続ける現代社会の病理そのものを強烈に告発していた。