1983年に生まれた娘・宇多田ヒカルにとって、母・藤圭子は圧倒的な憧れであり、同時に深く傷つけられる存在でもあった。ヒカルが15歳で鮮烈なデビューを果たした際、世間はその血脈に驚嘆した。母譲りの圧倒的な表現力と耳に残る声質は、紛れもなく遺伝子に刻まれた天賦の才能だった。
母の晩年、二人の間には距離が生まれていたが、互いを思いやる絆が途切れることはなかった。ヒカルは母の悲報を受け、「悲しい記憶ばかりではなく、母の明るい笑顔を思い出してほしい」とコメントを発表。母から受け継いだ音楽の遺伝子を胸に、彼女は今も歌い続けている。