とにかく濃い。湯船に手を入れると、わずか数センチ先が見えなくなるほどの濁り湯だ。この独特の赤茶色は、空気に触れた鉄分が酸化することで生まれる。しかし、驚くべきはその成分濃度だ。海水の数倍とも言われる塩分濃度が皮膚に薄い膜を作り、入浴後の水分の蒸発を防ぐ。これが「湯冷めしない温泉」と呼ばれる所以である。
近年の研究では、この高濃度の塩分と鉄分が、肌のバリア機能をサポートし、慢性的な皮膚疾患や乾燥肌に対するアプローチとして有効であることが科学的に実証されつつある。化学物質に頼らないナチュラルなスキンケアとして、温泉療法が再び脚光を浴びているのだ。