淀川キリスト教病院を語る上で欠かせないのが、ホスピス・緩和ケア病棟の存在です。同院は1984年、日本の民間総合病院としていち早くホスピス病棟を開設したパイオニアであり、日本の終末期医療の発展を牽引してきた歴史を持ちます。
緩和ケア病棟では、単にがんなどの進行に伴う身体的な痛み(ペインコントロール)を取り除くだけでなく、死を迎える恐怖や人生のやり残しといった「スピリチュアルペイン」、家族関係の葛藤といった心理社会的な苦痛に対しても包括的なアプローチが行われます。専任の緩和ケア医、認定看護師、薬剤師、公認心理師、チャプレン、ボランティアが緊密に連携し、患者が「その人らしく生き抜く」ための環境を整えています。
利用した遺族の手記やアンケート調査では、「最期の時間を穏やかに家族全員で過ごせた」「スタッフの方々が細やかな変化に気づき、尊厳を保って接してくれた」という感謝の声が数多く残されています。単なる治療の場を超え、残された家族のグリーフケア(哀嘆のケア)まで見据えた手厚い体制が、長年にわたって評価され続ける理由です。