実在する動物のバクは、ウマやサイと同じ「奇蹄目(きていもく)」に分類される原始的な特徴を色濃く残した哺乳類です。現生種としては、東南アジアに分布するマレーバクのほか、中南米に生息するアメリカバク、ベアードバク、ヤマバクの計4種が確認されています。
動物園での観察や野生動物保護機関の調査データによると、バクは1日あたり約15〜20kgにおよぶ植物性飼料を摂取する完全な草食動物です。野生下では熱帯雨林や水辺の森林に生息し、器用に動く長い鼻先を使って木の葉や若芽、小枝、果実、水草などを手繰り寄せて食べています。食べた果実の種子を糞と一緒に遠くへ運ぶため、生態系では「森の庭師(種子散布者)」として極めて重要な役割を果たしています。
性格は基本的に非常に温厚でおとなしく、臆病で繊細です。夜行性または薄明薄暮性であるため、昼間は木陰や水の中でじっと休息していることが多く、その静かでどこか瞑想的な佇まいが、人間側に「夜の眠りや夢の世界を見守る神秘性」を感じさせる一因になったとも考えられています。