世界文学の金字塔として名高いのが、フランスの作家マルグリット・デュラスによる自伝的小説、並びにそれを映画化した『愛人/ラマン』だ。植民地時代のフランス領インドシナを舞台に、15歳の少女と裕福な中国人青年とのあいだに芽生えた官能的かつ孤独な愛が描かれている。
メガホンを取ったジャン=ジャック・アノー監督による繊細な映像美は、世界的な反響を呼んだ。日本国内でも東映をはじめとする配給ネットワークや日本映画製作者連盟の記録に残るような話題作となり、映画ファンを深く魅了した。単なる愛憎の枠を超え、階級差や人種、若さと老いという断絶の中でしか燃え上がらない複雑な感情を美しく切り取った視点は、今なお色あせることがない。