山岸氏が「ラーメンの神様」と称されたのは、単につけ麺を発明したからだけではありません。どんなに多忙でも客への感謝を忘れず、誰に対しても分け隔てなく接したその人格的な温かさにありました。トレードマークの白いタオルを頭に巻き、客から「おいしかったよ」と声をかけられると、「ありがとうございます。参ったなァ」と目を細める笑顔は、多くの人々の心を捉えて離しませんでした。
山岸氏が遺した数々の名言には、料理人としての誇りと人間愛が凝縮されています。
「味と心」――大勝軒の看板に掲げられたこの言葉は、山岸氏の信条そのものでした。「美味しい料理を作るのは当たり前。そこに真心を込めなければ、人の心には届かない」という教えです。また、「スープは生き物。毎日気候も違えば材料の状態も違う。だから毎日が真剣勝負なんだ」「人生に無駄なことなんて何ひとつない」といった言葉は、ラーメン職人のみならず、多くのビジネスパーソンや現代人の生き方にも深い示唆を与え続けています。