結論から述べると、上司や取引先に対して「了解しました」「了解いたしました」と返答することは、現在のビジネスシーンにおいて明確なマナー違反(または配慮不足)と受け取られるケースが圧倒的多数を占めます。
国語辞書(Weblio類語辞典や広辞苑など)を紐解くと、「了解」とは「物事の道理や事情を思いやって納得すること、理解して受け入れること」と定義されています。語構成を見ると、「了(はっきりと悟る)」と「解(解きほぐして分かる)」から成り立っており、言葉そのものに相手を卑しめる意味は含まれていません。そのため、文法上は「了解」に丁寧語の「しました」や謙譲語の「いたしました」を付ければ敬語表現として成立しているように見えます。
しかし、問題となるのは「認める・許可を出す」という行為の主導権がどちらにあるかという点です。「了解」という行為には、「相手の言い分や事情をこちらが理解し、それを良しと認める」という上位者目線のニュアンスが構造的に内包されています。そのため、上司からの指示や命令に対して「了解しました」と返すと、無意識のうちに「部下が上司の指示を査定して承認した」かのような不遜な響きを与えてしまうのです。
一方で「承知」の「承」は「承る(うけたまわる)」という謙譲語の語源であり、「相手の意向を謹んで引き受ける・へりくだって知る」という意味を持ちます。ビジネス現場で「了解」ではなく「承知」が強く推奨される最大の理由は、「聞き手の立場を下げて相手への敬意を立てる姿勢」が明確に伝わるかどうかという点にあります。