国民審査の最大の構造的課題は、その集計ルールにある。制度上、「罷免したい裁判官の欄に×印を記入する」方式が採用されており、何も書かない白票はすべて「可(信任)」としてカウントされる。つまり、判断材料を持たないまま投函された大半の票が、そのまま現職裁判官への強力な支持票に化ける仕組みだ。
過去の審査結果を見ても、不信任票の割合は概ね6%から10%程度にとどまる。過半数の「×」を集めて罷免されるハードルは異常なほど高く、実質的に機能不全に陥っているとの批判は絶えない。「反対者のみが意思表示する」という現在の設計は、沈黙を賛成とみなす制度的罠と言わざるを得ない。