信長による経済政策の集大成となったのが、天正5年(1577年)に発布された「安土城下楽市令(全13条)」です。琵琶湖東岸に築かれた安土城の城下町を急速に発展させるため、極めて先進的な優遇措置が明文化されました。
安土城下楽市令の主な要点は次の通りです。
- 商税・諸公事の免除:市場税や課役を免除し、商売に専念できる環境を保障
- 徳政令の適用除外:債権放棄を強制する徳政令の対象外とすることで、金融・信用取引を保護
- 自由な居住と往来:他領からの移住者を歓迎し、前非を問わず居住の安全を確保
- 宿場機能の独占保護:通過する荷馬や旅人を安土に宿泊させ、消費を促す規定
これらの徹底したインセンティブ設計により、安土はわずか数年で全国から豪商や腕利きの職人が集まる国際色豊かなメガシティへと変貌を遂げました。城下町の商業発展は、領国の軍事拠点に強固な経済的裏付けを与える画期的な都市計画モデルとなったのです。