深作欣二監督によって映画化された1982年版『蒲田行進曲』で、平田は第6回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞と新人俳優賞をダブル受賞するという異例の快挙を成し遂げた。舞台版から同じ役を演じながらも、映画のクローズアップに耐えうる微細な表情の変化を見事に表現。映画史に残る「階段落ち」のシーンは、単なるアクションではなく、一人の人間の尊厳をかけた魂の叫びとして観る者の記憶に刻み込まれている。
この作品以降、日本映画界における彼の評価は不動のものとなった。しかし平田は決して「主演スター」の座に固執しなかった。主役であれ、わずか数分しか登場しない端役であれ、作品全体に深みを与える重要な結節点としての役割を淡々と、かつ凄まじい精度で担い続けていく。どんな役柄にも「生きた人間の体臭」を宿らせる技量こそ、彼の真骨頂である。