「ジュテーム」という言葉を冠した名曲は、スピッツの楽曲だけにとどまりません。音楽史・舞台芸術史において外すことのできない重要な作品群が存在します。
世界的に最も有名なのは、フランスの奇才セルジュ・ゲンズブールが作詞・作曲し、ジェーン・バーキンとデュエットした1969年の大ヒット曲『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(Je t'aime... moi non plus)』です。歌詞和訳において「ジュテーム(愛してる)」に対して「モワ・ノン・プリュ(僕も愛してないよ)」と返す退廃的でアイロニカルな世界観と、官能的な吐息が当時世界中に衝撃を与え、多くの国で放送禁止処分を受けながらもカルチャーのアイコンとなりました。
一方で、日本の伝統ある宝塚歌劇団においても「ジュテーム」は特別な輝きを放つ言葉です。鴨川清作氏が作・演出を手掛けた名作ロマンチック・レビュー『ジュテーム』(1984年雪組など)をはじめ、数々のレビューやショーの主題歌・挿入歌として歌い継がれてきました。清く正しく美しいタカラヅカの舞台において響くジュテームは、ゲンズブールの退廃美とは対極にある、夢とロマンに満ちた永遠の愛の誓いとして観客を魅了し続けています。