ビールの定義を分ける最大の境界線は、原料に使用される「麦汁」の割合、すなわち麦芽比率にある。日本の法律上、麦芽比率が50%以上かつ規定の副原料(米やコーンなど)を一定割合以内で使用したものが「ビール」と呼ばれる。対して、麦芽比率が50%未満のもの、あるいは規定外の副原料を使用したものは「発泡酒」に分類される。
一方、かつて爆発的なヒットを記録した「新ジャンル(第3のビール)」は、この発泡酒の枠組みをさらに細分化、あるいは迂回するアプローチから誕生した。製法は大きく2通りに分かれる。麦芽の代わりに大豆やエンドウ豆のタンパク質を原料に発酵させた「その他の醸造酒(発泡性)」と、麦芽比率の低い発泡酒に大麦由来などの蒸留酒(スピリッツ)を加えた「リキュール(発泡性)」だ。
麦芽のコクや苦味を前面に押し出す発泡酒に対し、新ジャンルはキレの良さやすっきりとした後味、アルコールの飲みごたえを巧みにブレンド技術で再現している。この科学的ともいえる醸造技術の進化が、両者の味わいと舌触りに決定的な差異を生み出しているのだ。