日本国内において本作は、日本テレビ(金曜ロードショー)での定期的な放映を通じて、数世代にわたる茶の間の共通記憶となってきた。夏が訪れるたびに画面越しに届けられたそのメッセージは、命の尊さと社会の脆さを問いかける大切な時間を提供し続けてきたと言える。
日本アニメーション業界にとっても、『火垂るの墓』の存在感は特別だ。同日公開されたスタジオジブリの『となりのトトロ』が光と夢を描いたのに対し、本作は極限の影を描き出した。アニメーションという媒体が単なる子供向けの娯楽を超え、人間の内面と歴史の暗部を抉り出す重厚な表現手段であることを証明した不朽の金字塔なのだ。