近年の外食産業は、人手不足や原材料高騰、配膳ロボットの導入など、目まぐるしい構造改革の真っ只中にある。オートメーション化によって効率性を極めたチェーン店が増加する一方で、個人の顔が見える食堂の価値はかえって際立つようになった。合理性だけでは決して代替できない「温もりのある居場所」を、社会が切実に求めている証左だろう。
客の顔を見てご飯の盛り加減を微調整し、「今日は寒いから温まってね」と小鉢を添える。そんな数値化できない心配りこそが、常連客の胃袋と心を長年掴んで離さない最強の強みだ。激動の時代にあって、地域に根ざした個店のあり方は、これからの飲食店が目指すべきひとつの指標を示している。