引退後、テレビ局のスポーツドキュメンタリー番組などはこぞって彼を「消えた天才」として取り上げた。悲劇の主人公、あるいは挫折したスターという分かりやすい物語をメディアは求めた。しかし、当の本人はそんな世間の騒音をどこ吹く風と受け流していた。
サッカーを辞めた彼が次に選んだ道は、なんとプロゴルファーへの挑戦だった。ゼロからのスタートでありながら、持ち前の超人的な感覚と集中力でプロテストに挑み、実際にツアー出場を果たすまで腕前を磨き上げた。ボールを蹴るのも打つのも、彼にとっては「物理現象と感性の対話」に過ぎなかったのだ。世間が勝手に貼ったレッテルなど意に介さず、礒貝は常に自分の人生を自らの手でドライブしていた。