井上氏の功績は、買収防衛という有事対応だけにとどまりません。TBSの長期的な企業価値向上を見据えた構造改革と不動産事業の収益化において、極めて大きな足跡を残しています。
その象徴が、本社社屋の建て替えに伴う大規模複合再開発プロジェクト「赤坂サカス(赤坂Bizタワーなど)」の推進です。広告収入の波に左右されやすいテレビ局の収益構造に危機感を抱いていた井上氏は、赤坂の一等地を活かした不動産賃貸事業を第2の柱として確立。現在に至るまで、TBSが民放キー局の中でも屈指の安定したキャッシュフローと盤石な財務基盤を誇る基盤は、井上氏の先見の明によって築かれました。
現場主義を貫きながらも、構造改革を着実に推し進めた経営手腕は、社内外のステークホルダーから「守るべき伝統を守り、変えるべき事業構造を変革したリアリスト」として高い評判を得ています。