カリウム濃度の低下が最も致命的な結果をもたらす臓器は「心臓」です。心筋細胞の電気的興奮と回復プロセス(再分極)はカリウムイオンの流出入によって厳密に制御されているため、血中カリウムが不足すると心筋の電気的安定性が根底から揺らぎます。
医療機関で実施される生理機能検査において、特徴的な低カリウム血症の心電図波形変化が確認されます。代表的な所見は以下の通りです。
- T波の平低化・陰性化:心室の再分極の遅延を反映。
- 著明なU波の出現:T波の直後に現れる陽性波が目立つようになり、T波と融合することもある。
- ST部分の低下:心筋虚血と類似した波形変化を示す。
- QT(QU)時間の延長:心室の電気的回復時間が異常に引き延ばされる。
これらの波形異常が進行すると、期外収縮から危険な低カリウム血症による不整脈へと移行します。特に「Torsades de pointes(トルサード・ド・ポアンツ)」と呼ばれる多形性心室頻拍や、心室細動などの致死的不整脈を誘発し、突然死に直結するリスクが高まります。自覚症状が単なる倦怠感程度であっても、心臓内部では危機的な電気的パニックが生じているケースがあるため、軽視は禁物です。