CM内で「専務から常務への降格」が描かれた場面を覚えている方も多いはずです。これは単なるCM上の演出ではなく、実際の経営責任に伴うリアルな降格人事でした。
ドリームキャストは発売前から記録的な予約数を集め、社会的な期待が最高潮に達していました。しかし、グラフィックチップ(NEC製PowerVR2)の製造歩留まりが極端に悪く、発売日に十分な出荷台数を確保できないという致命的な供給不足に陥ってしまいます。
当時、生産・調達部門のトップを務めていた湯川氏は、この出荷遅延と初期販売不振の責任を一身に背負い、1999年11月に専務取締役から常務取締役へ降格(役員退任)することになりました。これが「湯川専務 退任」の真相です。
驚くべきは、この深刻な経営失態と降格人事さえも、セガと秋元康氏は即座にCMのネタへと昇華させた点です。湯川氏が「湯川常務」として再出発し、自ら謝罪しながら家庭を訪問するCMシリーズは大きな話題を呼び、逆境をエンターテインメントに変えるセガの企業姿勢を印象づけました。