痛い。しかしいつ刺されたのか分からない。それがこの害虫の恐ろしさだ。一般にブユ(ブヨ・ブト)と呼ばれる体長2〜5ミリほどの黒っぽい双翅目昆虫は、蚊のように鋭い口針を皮膚に刺し込むのではない。皮膚を噛み切り、皮膚の下にできた血のプールから吸血する構造を持つ。
そのため、皮膚に残る「跡」には決定的な違いが現れる。蚊の刺し跡は全体が均一に白くふっくらと盛り上がるのに対し、ブヨの場合は中心部にポツリと赤く小さな「出血点」や「かさぶた」が残るのが最大の特徴だ。医療機関が共有する症例解説・応急処置マニュアルにおいても、中心部の微細な傷口の有無が蚊との大きな識別点として挙げられている。