事態が発生したのは、東日本大震災の復興に向けた議論が紛糾していた2011年7月29日の衆議院財務金融委員会でした。質問に立ったのは、野党・自民党の近藤三津枝議員。近藤氏は、疲労困憊の表情を浮かべていた海江田経産相に対し、原発行政の混乱ややらせメール問題の責任を問いただす中で、次のように切り出しました。
「大臣、本当にお疲れのようでございます。顔を拝見していても本当に痛々しい」「もうこれ以上、あなたをお苦しめしたくありません。早く辞任されて、お休みになられてはいかがですか」
激しい批判というよりも、相手の急所を突く冷徹さと同情が入り混じったこの追及に対し、答弁席に立った海江田氏は口元を震わせました。答弁を試みるものの声にならず、目頭を押さえ、白いハンカチを取り出して溢れる涙を拭い続けたのです。委員会室は静まり返り、審議は一時中断。この国会答弁での涙の瞬間は、テレビの報道番組などで繰り返し放映され、列島に大きな衝撃を与えました。