家族社会学や組織心理学の観点から見ても、常田兄弟のパートナーシップは極めて示唆に富んでいます。近親者同士の協業において最も陥りやすい罠は、依存や感情的な甘えが生じる「共依存関係」です。
しかし、常田兄弟の間には健全な「心理的バウンダリー(心理的境界線)」が保たれています。兄・俊太郎氏は自身の会社(株式会社ユートニック)を経営し、テクノロジーでアーティストを支援する独自の経済圏を確立しています。一方の弟・大希氏も、自身のクリエイティブ集団PERIMETRONなどを主宰し、妥協のない表現を追求しています。
お互いが自立したプロフェッショナルとして完結しているからこそ、作品制作という現場で対峙したときに、身内意識を排した研ぎ澄まされたセッションが成立します。「個の確立なくして、健全な共創はあり得ない」という普遍的な教訓を、彼らの生き様は示しています。