草冠の漢字を扱う際、最大の混乱要因となるのが「部首の画数をどう数えるべきか」という問題です。小中学校の国語教育で育った世代にとっては「草冠=3画(横、縦、縦)」が常識ですが、漢和辞典の索引や姓名判断の鑑定書を開くと「4画」あるいは「6画」と指定されているケースが珍しくありません。
この食い違いの根本原因は、漢字の成り立ち(字源)と近現代の文字改革の歴史にあります。草冠の原形は、草が地上に芽生え伸びる形を象った象形文字「艸(そう・くさ)」です。「艸」そのものの画数は6画であり、漢字の上部に配置される部首冠となった際に「艹」の形へと変化しました。
清代に編纂され、近代漢和辞典の基準となった『康熙字典』では、この部首を「艸部」とし、冠の形になった状態を4画(十と十が並ぶ形、あるいは横棒が中央で切れる形「⺿」)として分類しました。これが「辞書上は4画」とされる根拠です。
一方、戦後の国語施策において文化庁の前身である文部省が制定した「当用漢字表」および「常用漢字表」、さらには日本産業規格(JIS漢字コード)では、筆記の実態に合わせて横棒を一筆で貫く「3画の艹」が標準字体として採用されました。公教育や行政手続きにおける「3画基準」は、この戦後の簡略化・統一基準に基づいています。