インターネット上の育児情報では「ほうれん草は鉄分が豊富だから、貧血予防のために毎日たくさん食べさせなければならない」という言説が目立ちますが、ここには栄養学的な盲点が存在します。
第一の誤解は、ほうれん草鉄分幼児食における吸収効率です。ほうれん草に含まれる鉄分は「非ヘム鉄」と呼ばれ、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」に比べて体内への吸収率が非常に低く、わずか2〜5%程度にとどまります。さらに、下処理で落としきれなかったシュウ酸や食物繊維が鉄分の吸収を阻害することもあります。「ほうれん草さえ食べさせていれば鉄分不足は解決する」という認識は過信であり、赤身肉、レバー粉末、魚、大豆製品などとバランスよく組み合わせることが不可欠です。
第二の誤解は、「栄養が抜けるのを防ぐために、レンジ調理でアク抜きを済ませる」という時短テクニックです。大人向けであれば問題ありませんが、味覚が敏感な幼児食においては、レンジ加熱ではシュウ酸が十分に抜けず、強烈なえぐみが葉に残ります。栄養素を少しでも多く残そうとした結果、子どもが野菜嫌いになってしまっては本末転倒です。幼児期は「栄養の残存率」よりも「食べやすさとアクの完全除去」を最優先にすべきです。