館内に入ってまず目を奪われるのが、映画『男はつらいよ』の撮影で実際に使用された「くるまや」のセットだ。松竹大船撮影所からそのまま移設されたこのセットは、柱の傷や調度品の汚れに至るまで、当時の空気感をそのまま真空パックしたかのようなリアリティを持つ。茶の間のちゃぶ台を囲んで、今にも寅さんとさくら、そしておいちゃんやおばちゃんたちの賑やかな会話が聞こえてきそうだ。
さらに、昭和30年代の柴又の街並みを再現したジオラマや、かつて帝釈天の参道を走っていた人車鉄道の模型など、歴史的価値の高い展示も並ぶ。単に映画の小道具を並べるだけでなく、当時の人々の暮らしや息づかいを立体的に体感できる工夫が随所に凝らされている。