古くから日本人の生活圏に身近だったニホンザルは、その特徴的なお尻を通じて多くのことわざや民話にも登場してきました。
代表的なことわざが「猿の尻笑い(さるのしりわらい)」です。これは「自分のお尻が真っ赤であることに気づかず、他人の赤いお尻を見て大笑いする」という様子から転じて、自分の欠点や恥ずかしい部分を棚に上げて、他人の同類の欠点をあざ笑うことを意味します(「目糞鼻糞を笑う」と同義)。
また、日本の昔話(民話)にもお尻の赤さにまつわるユニークな由来譚が数多く残されています。海に住むクラゲが竜宮城の命を受けてサルの生肝を取りに行こうとして失敗する「猿の生肝」や、「猿と蟹の合戦」などの派生エピソードにおいて、「嘘をついて罰として引きずり回された」「熱湯をかけられた」といった災難に遭い、毛が抜けてお尻が赤くなったというユーモラスな因果話が語り継がれてきました。
科学的な根拠が存在しなかった時代から、日本人はサルのお尻の赤さに強い興味を抱き、鋭い観察眼と豊かな想像力で文化の中に落とし込んできたことが窺えます。