「あの日のJR大津京駅と膳所駅の混雑は、一歩間違えれば惨事になりかねなかった」。当時を知る警察関係者はこう回想する。数年前まで琵琶湖大花火大会には一晩で30万人以上が押し寄せ、周辺道路は完全に麻痺。終電間際の駅構内には人が溢れ返り、近隣住民からは悲鳴に近い苦情が相次いでいた。
事態を重く見た実行委員会と周辺自治体が出した答えが、「打ち上げ場所の分散」だった。一つの巨大な打ち上げ会場に観客を集めるのではなく、大津・草津・守山の3市沿岸部で同一時刻に大玉を夜空へ届ける。来場者を物理的に分散させれば、最寄り駅の混雑率は大幅に下がる。机上の理論は明確だったが、実現へのハードルは予想を遥かに超えていた。